「先達赴任の際に貰える朱杖」を、歩き遍路にお勧めし難い理由
①重い
杖の重量は約761gと、シンプルに重いです。お遍路さんの歩く遍路道は、常に最短の距離でありますので、歩き遍路では1gでも軽く、1cmでも最短の道を歩く事が昔から求められます。
弊社の杖同じ長さの朱杖は、杉で約426g,ヒノキで約493gと軽く、年配の方にも負担が少ないです。
②円錐形であり重心が下にあり過ぎて歩きにくい (前方まで大きく降りにくい)
重心の位置が悪く、もともと重いのもあり使い難く感じます。もう少し具体的にいえば、歩きだす際に「振り上げに力がいる=杖を前に出す際、振り上げにくい」と感じます。
③正円なので握りにくい
お箸も「まん丸のお箸と」、「角張ったお箸」ではお食事の掴み難さに差があるのはご存じであると思います。
その上グリップテープもなく、ラッカーでツルツルに塗装しておりますので汗で滑りやすく、使い難いです。
軽い力で握れずに、疲れやすい感じです。
④先端に金具がついており、登山道などでは純粋に危ない
勿論先の鋭い金物ですから、険しい山道で転倒などをした場合、自分に刺さったり他のお遍路さんを傷つけたりする可能性があります。
太龍寺から平等寺に抜ける道(中ルート)などのキツイ下りなどでは、杖の先端を掌で掴んで下りると安定する場所もあります。先端に金具があると先端がつかめません。
⑤杖を金物で固定している
これは先達として気になる細かい点ではございますが、先端の金具を「釘打ち」で抜けないように固定してあります。歩き遍路の同行二人にて「杖」はお大師さんそのもの。遍路宿等で泥汚れを落とし清潔に保ちます。
そんな大切なお大師さんに「釘を打つ」というのは、お大師さんに傷をつけているようで気に入りません。
昔、私も杖に「ひーとん」をねじ込んで鈴を付けておりましたが、他の先達さんに「如何なものか」と言われて調べてみて以来、控える様になりました。 製造者は「一刀三礼」の気持ちで釘を打ち込んでいるのかもしれませんが、杖に釘を刺して一緒に歩くと、いうのは、正直宜しくないです。
【番外】:金具部分を切断しないと、お棺で一緒に燃やせない
常世でそのままお使い頂こうにも、先端の金具部分を切断しないと一緒にお棺にはお持ち込み頂けません。